金ヶ崎議員の政務活動費問題―「百条委員会」で本格調査へ

 宇治市議会12月定例会の最終日の12月25日、金ヶ崎秀明議員(自民離党→現在無会派)=1期=が政務活動費で21万枚の用紙を購入した問題を詳しく調べるため決議案が出され、賛成多数(金ヶ崎議員、秋月議員(維新)が反対)で可決されました。地方自治法100条に基づく調査権限を議会運営委員会(宮本繁夫委員長)に委任し、本格調査に乗り出すことになりました。宇治市議会で百条委員会やそれに準ずる組織が置かれるのは初めてのことです。地方自治法100条に基づく委員会には、強制力がある調査権が保障され、正当な理由がないのに出頭、記録提出、証言を拒否したときや、虚偽の陳述を行った場合は、禁固や罰金が科されます。

 金ヶ崎議員は、昨年度の政務活動費(年間24万円)のうち23万9486円支出し、うち事務費約23万4292円の大半でコピー用紙21万枚を購入したと政務活動の実績として報告しています。
 9月10日の議会運営委員会で、水谷修委員(共産)が「政務活動費の範囲を逸脱しているのではないか」と指摘し、同委員会は議長に事情聴取を求めました。

 11月12日に正副議長が、金ヶ崎議員に聞き取りしたところ、同議員は「政務活動費として間違った使い方はしていない。資料などのコピーに使った」と回答。議長はその内容を11月25日の議会運営委員会に報告しました。
 委員からは、「単純に1年間(365日)作業したとしても1日に500~600枚のコピーをした計算になる。」などの意見がだされ、各会派の委員から「使用内容が理解できない」として再度聞き取りを行うように議長に求めました。

 12月11日に再度、議長の聞き取りに同議員は「用紙21万枚の使途について、議会の議事録や市民・自治会要望に対する資料、市の計画書、新聞記事のコピーなどとあくまで『資料印刷』」と説明し、印刷については「会社の輪転機等で印刷した」「19万市民対象に活動している議員として、当たり前の支出」「市民からの要請に基づいたもの」「使い道は自信を持っている」と答えたとのことです。

 12月24日の議会運営委員会で、12月11日の議長の聞き取りの報告を受けたのち、金ヶ崎議員が委員外委員としての発言を求め、「当初の私の認識では、用紙を購入してからそのつど、印刷して市民に配布するという、事務消耗品と判断していた。しかし、正副議長の指導のもと、実際は広報として配布しているので広報(費)が正しいとの認識に至った」「私の不勉強、経験の浅い点を深く反省し、しっかり政務活動費を計上させていただく。時間を取らせ、深くお詫びする」と釈明しました。

 しかし、委員からは「議長の聞き取りでは『コピーに使った』と自信を持って答えていたが、それは嘘だったのか」「この期に及んで訂正とは、あつかましさは信じがたい。また、印刷費が仮に1枚5円かかっても100万円の印刷物を配ったことになる。謝って済む問題ではない」と厳しい意見が出されました。

 水谷修委員(共産)が、「金ヶ崎議員の説明は、コロコロ変わり、議長の報告とも矛盾する。地方自治法100条に基づき、調査権限を持つ百条委員会(調査特別委員会)を設置することを定める決議案を明日の本会議に提出したい」との意向が示され、各会派が持ち帰り協議することになりました。

 12月25日の議会運営委員会で、共産党の提出した決議案が協議され、各会派から「地方自治法100条に基づく調査特別委員会の設置ではなく、これまで議論してきた議会運営委員会に地方自治法100条に基づく権限を付与して調査を行うべき」との意見でまとまり、共産党が提出予定の決議案を取り下げ、共産・民主・公明・自民・社会の全会派の議運委員の連署で「政務活動費によりコピー用紙を大量に購入したことの調査に関する決議」が、最終日の本会議に提出され可決されました。

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