予算案、賛成・反対同数、異例の議長裁決で可決

宇治市議会3月定例会は、3月29日に閉会日を迎え、議案の採択が行われました。来年度予算案には、空前の値上げラッシュ、市民サービス切り捨てラッシュを含んでおり、市民・関係者の強い批判にさらされる中、議会の対応が注目されていました。共産党は、値上げや切り捨てを撤回する「予算案の組み替え動議」を提出しましたが、賛成少数で否決。中心的な議案である一般会計予算案には、共産党、宇治維新と自民党4人(1人退場)の13人が反対、民進党、公明党、無会派議員の13人が賛成して、賛否同数となりました。坂下議長(自民党)の裁決は「賛成」で、議案は可決となりました。閉会にあってのあいさつで、市長は「非常に厳しい状況だが、可決いただき感謝申し上げる」と述べました。

予算案の討論で、大河直幸議員の行った反対討論は次のとおりです。

議案第2号「平成30年度一般会計予算案」に対する反対討論

議案第3号など30議案に対する反対討論

 

 

予算案が一票差で可決―予算委員会最終日

市長は今年度もなかばになってから急に「収入が足りない」「85億円不足だ」と言い出し、公共料金を軒並み値上げ、市民サービス大量切り捨てとする予算案を提案してきました。関係者と長く協力して実施してきた事業を協議もなく中止するなどの手法にも異論が続出。関係者・市民からも大きな批判がおきています。

予算委員会の審議でも「あまりにも突然」「急な展開に市民の理解を得られるのか」「山本市長の失政の結果だ」「拙速なやり方だ」と批判が続出しました。

3月26日に行われた討論では、共産党は「財政見通しはすでに大きな狂いが生じており、85億円もの収支不足の根拠はなくなった。市民サービス切り捨て、公共料金一斉値上げをやめるべきだ。市長はいったん立ち止まって予算を再検討して提出すべきだ」としました。自民党は「役所内部の改革が不十分だから反対する」、宇治維新は「弱い立場の人への施策を切り捨てるもので、はじめて予算に反対する」と述べました。民進党は「急ブレーキ、急ハンドルで、安全運転どころか大事故につながりかねない」といいながらなぜか賛成し、公明党は討論をせずに賛成しました。結果は、反対8人、賛成9人で、一票差で可決されました。

本会議でも各会派が予算委員会と同じ態度をとれば、反対が14人、賛成が13人で、否決になる可能性もでてきました。

市民サービス切り捨て・公共料金一斉値上げに反対討論

3月26日予算特別委員会において、水谷修議員が一般会計予算案に対する反対討論を行いました。

水谷議員は討論で次のように述べました。

「市長は、収支不足について、それまではまったく触れなかったのに、昨年秋になって急に『これからの4年間で85億円の収支不足』と言い出しました。そして、関係者との協議もなく、市民サービスをバサバサと切り捨て、公共料金を軒並み値上げする予算案を提案しました。関係者・市民から猛批判が上がり、議会でも『予告編もなく、急ブレーキだ』『山本市長の節制の結果だ』『拙速すぎるやり方』など厳しい声が上がっています。

これらの施策の理由とされた『財政健全化推進プラン』ですが、そのネーミングでは、あたかも今の宇治市財政が不健全だということを前提としているようですが、宇治市財政が健全であることは市長も認めています。市長は、『経常収支比率』を持ち出して、あたかも経常収支が悪いかのようにいいますが、宇治市の経常収支はキャッシュフロー計算書を見れば良好な経営状況です。今後4年間の財政見通しは、税収や事業費などですでに大きな見通しの狂いが生じており、85億円もの収支不足があるという根拠はなくなっています。このうえは、予算組み替え動議の提案説明でも述べましたが、市民サービス切り捨て、公共料金一斉値上げをやめるべきです。」

予算の組み替え動議を提案 ― サービス切り捨て、一斉値上げの再検討を求める

党議員団は、3月29日、市長提案の一般会計予算案に対して、組み替えを求める動議を提出しました。

提案理由説明にたった水谷修議員は、「市長は『財政難』を理由にして、市民サービスを切り下げ、事務事業の廃止・縮小・見直し、使用料・手数料の軒並み値上げを、関係者との調整も合意もなく、唐突に提案されました。これらをいったん元にもどし、立ち止まって再検討すべきものです。市長におかれれは、予算案を再検討することを求めて提案します。

(組み替え動議の全文は下線部をクリックしてください) 平成30年度宇治市一般会計予算等の組み替えを求める動議

 

介護保険料条例修正案を提案 ― 保険料を据え置きに

3月18日の予算特別委員会に、党議員団は市長提案の「介護保険条例一部改正案」に対し修正案を提案しました。

修正案は、介護保険料基準額で80円引き上げようという市長提案に対して、据え置きにするよう修正するものです。必要財源は年間400万円で、今期の黒字が3億から4億円と見込まれていることから充分に財源はあ理ます。

提案前文と鍼灸対照表は、下線部をクリックしてください。

介護保険条例の一部を改正する条例修正案【新旧対照表】 介護保険条例の一部を改正する条例修正案

国保条例に修正案を提案 ― すべての加入者の保険料引き下げを

3月18日の予算特別委員会で、党議員団は、市長提案の「国保条例一部改正案」に対し修正案を提出しました。

宇治市の国保料は、京都府内でもトップクラスの高い保険料を続けてきました。高すぎる保険料のために、9年連続で数億円単位の巨額の黒字を生じ、国保基金も10億円近くになりました。党議員団は、毎年、「取りすぎになっている国保料は、引き下げて加入者に返還すベきだ」と引き下げの修正案を提案してきましたが、市は「将来の財政運営に不安がある」とし、民主・自民・公明などの議員も引き下げに反対してきました。

国保制度の変更で、府内の国保料の平準化が課題となる中で、宇治市はようやく高すぎる保険料を他市なみに引き下げる改正案を提案しました。しかしこの改正案は、保険料の3要素のうち、「所得割」と「平等割(世帯割)」は引き下げるものの、「平等割(人数割)」は引き上げることとしているため、加入世帯の約9割で引き下げになるものの、1割程度では逆に引きあげになるというものです。党議員団などが提案した修正案では、「平等割」の引上げをやめて据え置きにすることで、ほとんどすべての加入者の保険料を引き下げようというものです。この提案実施で減額になる保険料収入は約5500万円。2017年度国保会計の黒字見込み7億6517万円(2018年度予算の収入には未計上)や国保基金9億5128万円など、活用できる財源はいくつもあります。

 

提案した修正案の全文と新旧対照表は、下線部をクリックしてください。

国保条例の一部を改正する条例修正案  【新旧対照表】国保条例の一部を改正する条例修正案

 

第89回山宣墓前祭に参加しました

 3月5日は治安維持法改悪に反対して暗殺された労働農民党代議士山本宣治の89回目の命日です。宇治市善法墓地の山本家の墓前で、第89回山宣墓前祭が開かれました。朝からの雨の中、100数十めの方が参加しました。

墓前祭は、新日本婦人の会と年金者組合の有志による「平和コーラス」の指導で、山宣追悼歌を合唱して始まりました。

あいさつに立った本庄豊実行委員長は、「山宣が命を懸けて反対して治安維持法、そのもとで戦争に反対する人々が弾圧され、人々はものも言えない状況におかれて、日中戦争、アジア戦争と戦争は拡大していきました。1945年の敗戦までに、アジア全域で2000万にん、日本で320万人が犠牲になりました。二度とこうした惨禍を繰り返さない誓いを込めて日本国憲法が作られました。ところが今、安倍政権は憲法を変えて戦争できる国に変え、機密保護法なでもも言えない状況をつくろうとしています。私たちは、山本宣治さんの遺志を受け継ぎ、憲法を守りぬいて、民主主義を守り、戦争を阻止することを決意します。」と語りかけました。

追悼の言葉に立った、つなぐ京都・弁護士の福山和人さんは「今日は私の生まれた日でもあります。宇治で育った私は、小さい時から父に『この日に生まれたお前は、山宣の志を受け継がなあかんで』と言われてきました。今また戦争の危機が迫っている時期に、憲法法と暮らしを守るために知事選挙への立候補を決意したことは、山宣の遺志を受け継ぐことにもなると考えてのことです」と決意を語りました。(写真は、追悼の言葉の語る、福山和人さん)

続いて、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟、全日本年金者組合、日本国民救援会、民主青年同盟、新社会党、日本共産党が追悼の言葉を述べました。献花、メッセージ紹介の後、やましろ健康医療生協の看護師の方が、「89年目の命日に墓前につどい、あなたの生涯に思いをよせ、その遺志を受け継ぐ誓いを新たにしています‥と「墓前の誓い」を読み上げ、参列者全員で確認しました。また、「9条改憲に断固反対し、撤回を求める」決議を、安倍晋三内閣総理大臣宛送付することを提案・承認されました。

最後に、山本家、山宣の孫にあたる山本勇次さんからお礼のあいさつがありました。

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