「2016年度宇治市予算案について」を発表

議員団は、2016年度の宇治市予算案について、以下のコメントを発表しました。

2016年度宇治市予算案について 

2016224日 日本共産党宇治市会議員団

 

 222日、宇治市議会3月定例会が開会され、2016年度宇治市予算案等が提案されました。山本市長就任から4年目の仕上げの年の予算ですが、産業振興、暮らし応援、教育・子育て、高齢者福祉など市民の切実な願い実現には財源の確保が困難として背を向け、一方で80億円もかかる太閤堤跡歴史公園事業をすすめようとしています。

 3月定例会において、代表質問や一般質問、予算特別委員会での審議を通じ、市民の声を届けて実現するために力をつくします。是非、ご意見をお寄せください。

  一般会計予算額は6248千万円で過去最大規模になっています。アベノミクスで大企業は空前の利益を上げていますが、宇治市の税収入は個人市民税・法人市民税ともに減収を見込むなど、市内企業の収益も市民の所得も伸びない見込みです。

  高すぎる国民健康保険料の問題では、7年連続の大幅黒字で10億円もの基金をためこみながら国保料の引き下げを拒否しています。基金を活用し、多くの市で行っている一般会計からの繰入などを行えば引き下げは充分に可能です。水道事業の財政シュミレーションでは収入を少なく見込み、支出を多く見込むことで値上げが必要だと14%の大幅値上げとしています。財政シュミレーションを精査し、資金調達を見直せば値上げは回避できるものです。

  宇治市の経済では、2014年までの5年間で事業所数が8%減少し、2014年度までの10年間で大型店の市内小売業の売り場面積に占める割合が、56%から87%へと大幅に増加、小規模商店が大幅に減少しています。「地方創生」で人口減少対策といいながら、人口減少を食い止める具体策がありません。住宅リフォーム助成制度、中小企業への固定費支援、公契約条例の制定、個々の小事業者への支援など、他の自治体で成果をあげている経済政策を導入すべきです。

  トイレが、くさい・きたない・洋式トイレがないなど時代遅れの状況におかれている学校が18校もあるのに、その改修ペースは年間2、3校でしかありません。中学校給食は、全国ではほとんどの自治体で実施されており、遅れていた京都府内でも急速に実施する自治体が増えています。それなのに市での実施を拒否し、業者弁当のあっせん事業に固執して昨年より大幅増の558万円を計上しています。1年でも早く中学校給食を実施すべきです。

ゆきとどいた教育のためには少人数学級が欠かせません。国はいったん35人学級へと踏み出しましたが、安倍政権になって止められました。そのため市町村が独自に少人数学級を実施する例が増えていますが、宇治市では国の基準のままという姿勢です。予算全体に対する教育費の割合は、多くの自治体が9%から10%なのに、宇治市では8.5%にすぎません。

保育所に入れない待機児童は、2014年4月の81人から2015年4月には109人へとさらに増えていますが、保育所の新設などの抜本的対策をとろうとしていません。子どもの医療費助成では、宇治市以南の自治体では、中学校卒業まで実質無料になっているのに、宇治市では小学校卒業までのままです。

  特別養護老人ホームに入れない待機者は、2014年の269人から2015年には315人へと増加し、介護保険料を払っているのに介護サービスが受けられないという事態は深刻さを増しています。介護報酬の減額などの国の制度改悪が進められる中、介護職員の不足と低賃金が介護事業の衰退につながりかねない事態です。

市内商店の減少や大型スーパーの撤退で、買い物難民が増加しています。商店の振興とともに、デマンド型タクシーなどの高齢者など交通弱者の移動を保障する政策を実施すべきです。

  太閤堤跡歴史公園事業には総額80億円もの巨費を投入しようとしていますが、事業規模が大きすぎる、PFI方式は問題があると指摘され、市の答弁でも税収増にも観光客増にも効果の見込みは示せないとするなどとなり、9月定例会で関連予算を削除する修正案が可決されました。それなのに、否決された事業計画を変更せず、2034年までの長期計画(債務負担行為)に256千万円、来年度事業で112600万円を計上しています。目的もあいまいで、成果もみこめない大型事業は、根本的に見直すべきです。

市長提案がまた「否決」 補正予算への共産党提案の修正案が可決

3月定例会2日目、市長が提案した補正予算に対する修正案が可決されました。これで、市長提案が実質的に否決や修正されることが、昨年9月議会での太閤堤跡歴史公園事業関連補正予算、12月議会でのラブホテル規制条例に続いて、3定例会連続となりました。

 補正予算(5号)は、宇治市のごみ収集運搬を請け負っていた会社の役員が刑事事件に関して罰金刑をうけていたことで、指名停止となったことにたいして、あらたな事業者を選定して、4年契約を結ぶとするものです。この議案を提案に対して、緊急で重要な案件なのに、所管する市民環境常任委員会への報告がないまま本会議提案を行おうとしたり、議会への充分な説明が不足したままだったりと、不手際が指摘されていました。事態の詳細な報告・検討やごみ収集運搬業務のあり方についての検討もないまま、4年契約を結ぶことへの批判の声も広がっていました。

 共産党の提案した修正案は、共産・自民・公明の賛成、民主と無会派議員の反対で、賛成多数可決されました。

 以下は、党議員の行った修正案の提案説明です

  補正予算第4号は、不燃ごみの収集運搬のすべてと可燃ごみの収集運搬業務の一部を民間事業者に随意契約で委託していたものを入札により委託契約をするために、期間4年間の債務負担行為の設定を行うというものであります。

 本修正案は、債務負担行為の設定を今年度と来年度のみとし、限度額についても、期間に応じて4分の1に減額をおこなうものです。

  不燃ごみの収集運搬は市の直営で行われていたものが、昭和43年からすべて民間委託となっています。また可燃ごみについても、すべて市の直営で行われていた収集運搬業務が、平成20年から一部は民間委託へと移行されました。そして、不燃ごみの収集運搬のすべてと可燃ごみの収集運搬業務の一部を、ひとつの民間事業者へ長期にわたり委託し続け、その事業者が指名停止となったことにより業務継続ができなくなったため、入札を行うということですが、不測の事態がおこり、民間委託した業者が業務を行えなくなることは、今後もないとはいえません。

 ゴミ収集業務は市民生活を維持するうえで不可欠の業務です。今回のように、年度途中での委託業者の業務遂行に不測の事態が生じ、市民生活に大きな不安を生じさせることが再びあってはなりません。

  よって契約期間を4年間から1年間とし、限度額についても4分の1とする修正案を提案するものです。緊急の対応として、当面のゴミ回収で市民生活に混乱をきたさないように、早期に次期事業者を選考する必要性があるとしても、安易に4年間の委託とするのではなく、来年度の1年間をかけて、ゴミ収集業務のあり方を検討し、その結果を踏まえて対応すべきであります。

共産党提出の「政務活動費の使途の調査に関する決議」が可決

 2月22日の本会議に、共産党が提案した「政務活動費の使途の調査に関する決議」が、出席議員全員の賛成で可決されました。

 政務活動費の不正な使用が全国でも次々と摘発され、元兵庫県議の裁判も行われています。宇治でも一昨年12月の議会で、当時自民党に所属する市議が、政務活動費で21万枚もコピー用紙を購入したことが判明、当該議員の説明が二転三転したため、地方自治法第100条第1項の調査権限を議会運営委員会に付与し調査することを決議し、調査しました。調査委員会で、領収書を精査し、関係者の証人喚問などを行うなどの結果、議員が購入した事実は確認できないとが判明し、政務調査費が返還されました。

 その後、他にも「平成25年度に不適切な事案がみられる」という疑義が出されました。その議会審議の中で、政務調査費でタイヤや灯油を購入している、本人が出張中にガソリンを入れた領収書が添付されている、あて先が書き足された領収書があるなどの疑義が次々と出てきました。党議員団は、前回100条調査の経緯や教訓を活かして、今回の事例でも100条権限をもつ調査委員会の設置をすべきだという決議案を提出。当該議員が欠席するなか、すべての出席議員の賛成可決されました。

 今後、委員の選出、委員長などの選任を経て、調査が行われます。

2016年度宇治市予算について報告・懇談

 議員団の市政報告懇談会が、2月18日宇治市生涯学習センターで開催され、約30人が出席。2016年度宇治市の予算案の概要と議員団の見解が報告されました。

 水谷修団長のあいさつ、前窪府議会議員から府の新年度予算案についての説明の後、山崎恭一議員から2016年度の宇治市予算案について、また、渡辺俊三議員から太閤堤歴史公園事業の概要と議員団としての態度などを説明しました。

 その後、参加された方との懇談をおこないました。

「市民の要求に係わる予算は減額ばかり。一方で太閤堤跡歴史公園など、市民が頼んでいない事業に予算をつけている」「これは毎年赤字になる施設ではないか。どれだけの観光客がくるのか。市民もつくるのはおかしいと声をあげないといけない」と太閤堤歴史公園事業について批判の声が多くあがり、議員団から「80億円もお金をかけて整備して、はたして市民の暮らしはよくなるのか。」と発言。

 また、宇治公民館の廃止にともなって、「太閤堤跡歴史公園に貸し会議室をつくると言うが、たったこれだけの施設で今のサークル活動などを保障できるのか」との声に対して、「公民館は学習教育施設であり、耐震の問題があるなら公民館は公民館として建てかえるべきだ」と答えました。

 そのほかにも「買い物にしても病院にしても高齢者が出掛けにくくなっている。高齢者施策として交通の問題を考えてほしい」、「大久保イオン閉店で買い物ができないとの声が出てきている。地域での影響は大きい」、「JRの複線化にともなって生活踏切が廃止される。不便を感じており対策をしてほしい」、「菟道ふれあいセンターは災害時の避難場所となっているが、耐震化ができていない。それどころかコンクリート落下がおきた。何とか対応をしてほしい」、「学校のトイレ改修は何年も前からの要望。早期に改修の実現を」、「茶業が衰退している。茶畑がなくなってきている」などの意見・要求が出され、議員団から3月議会の代表質問、一般質問や予算委員会などで取り上げていくと答えました。

 

1 / 11