2011年度決算認定に反対

11月8日に開かれた決算特別委員会において、共産党議員団は、「2011年は、国民生活基礎調査によれば世帯所得の平均が平成に入って最も低くなった年です。市民のくらしは年々苦しさを増しています。市政には、暮らしを守り、子育てを応援し、将来への明るい見通しを切り開くことが切実に求められています。また、この年度の直前に、東日本大震災と福島第一原発事故が起こり、住民の暮らしと安全を守るためになにをすべきか厳しく問われた時期でした。しかし、2011年度決算は、こうした市民の願いにこたえたものになっていません。」として反対しました。

(反対討論の全文)

日本共産党宇治市会議員団を代表して、議案第73号「一般会計決算認定」、議案第74号「国民健康保険事業特別会計決算認定」、議案第75号「後期高齢者医療事業特別会計決算認定」、議案81号「水道事業会計決算認定」に反対する討論を行います。 

2011年は、国民生活基礎調査によれば世帯所得の平均が平成に入って最も低くなった年です。市民のくらしは年々苦しさを増しています。市政には、暮らしを守り、子育てを応援し、将来への明るい見通しを切り開くことが切実に求められています。

また、この年度の直前に、東日本大震災と福島第一原発事故が起こり、住民の暮らしと安全を守るためになにをすべきか厳しく問われた時期でした。

しかし、2011年度決算は、こうした市民の願いにこたえたものになっていません。以下反対の理由を具体的に示します。 

反対理由の第1は、地域経済が冷え込み、収入の減少と社会保障の後退でくらしの不安が増大しているのに、市民負担を増やし、経済振興でみるべき成果をあげていないためです。

国保料は、所得200万円4人家族の世帯で、年間43万7千円にもなり、府内15市で最も高くなっています。国保料の負担の大きさは限度を超えています。ところが宇治市の国民健康保険会計は、保険料を高くしすぎたために、4億3159万円の黒字となりました。さらに、予算では858万円だった基金積立金を、決算では2億4,506万円と、2億3,648万円も積み増しており、あわせると実質6億6,807万円の黒字となっています。市は、2011年度の国保料決定にあたって「1億9919万円も赤字になるから5%の引き上げが必要」としましたが、決算の結果「引き上げなくても黒字だった」としました。必要のない料金引き上げをして市民に負担をかけて、大幅な黒字を発生させてしまったのです。

さらに国保会計への法定外繰入金は、28,784,750円、一人あたりにすると598円で、法定外繰り入れをしている府内13市で最低額です。黒字を活用し、法定外繰り入れを府内平均程度に引き上げて、国保料を引き下げるべきです。

地元経済振興は、1999年からの10年間で、市内の商店数は23%も減少し、工業事業所数は20%減少、市内大手の建築業者が倒産するなど、深刻な衰退がみられます。しかし、宇治市は、生活関連公共投資を大幅に増やすとか、全国400以上の自治体で実施され経済振興に大きな効果があることが実証されている住宅リホーム助成制度を実施するなどの、効果のある経済振興策をしようとしませんでした。商工会議所の提案「まちなかにぎわいづくり基本モデル構想」についても具体化の検討をしないなど、事業者の声を聞かないで、みるべき成果をあげることができていません。 

反対理由の第2は、子育て支援と教育環境整備に必要な経費をおしみ、近隣自治体と比べても落ち込みが目立っているからです。

学校施設の大規模改修は、10年計画で50億円をかけるといいながら、4年間で8億円分しか遂行できていません。大規模改修が遅れているために、くさいトイレや雨漏りする校舎、床のゆがんだ体育館などがいまも残されています

保護者を始め関係者の強い願いであり、ゆきとどいた教育を進める上で少人数学級が必要だとして、ようやく全国的に35人学級がすすめられていますが、宇治では、黄檗学園、三室戸小、御蔵山小、神明小など多くの学校で少人数学級編成のための教室が不足しています。教育予算が少ないことが原因です。

市長は、「早期に待機児ゼロをめざす」といいましたが、公立保育所の廃止を強行するなどしたために、2010年3月の待機児302人、2011年3月296人、2012年3月295人と大量の待機児を発生させ続けています。

育成学級は、土曜日閉級を続け、長期休暇中の開設時間の延長も実施しませんでした。

(土曜日は20学級のうち12学級が閉級、土曜日は7:30開室だが、夏休みなどは8:30開室)

子どもの通院医療費は、今年9月からやっと就学前までの実質無料化が実現しましたが、京都府南部では、宇治市以外は小学生も無料化になっています。宇治だけが遅れているという状況は依然として改善されていません。 

反対理由の第3は、必要な経費を削減し、市民サービスを低下させる行革を推進したことです。

宇治市の131の集会所は、市民の地域自治や文化活動の拠点として大きな役割を果たしています。ところが市は、「集会所再生プラン」で、「集会所の有効活用を図ることにより、地域コミュニティの活性化を促進する」といいながら、管理人制度を廃止して運営を地元組織にし、小修繕などを地元負担とする制度改悪を強行しようとしています。現在行われている地域説明会では、多くの地域住民から「結局町内会の負担が重くなるだけ」「管理を地元に任せるといわれても実際には困難」「管理を引き受ける地域団体がない」など、計画の欠陥が明らかとなっています。管理運営の経費を削って、地元負担を増加させる計画では、多くの集会所の存続が危うくなります。

市は、学校給食調理の民間委託を強行してきましたが、宇治小学校の業者選定の入札では、業者の不誠実な対応で落札が不調となりました。4月からの給食実施が危ぶまれる中で、急遽再入札が行われましたが、再入札に応じたのは実質的には1社だけであり、その落札率は、予定価格上限いっぱいの100%という高いものでした。「民間委託をすれば競争原理がはたらいて安くなる」とい教育委員会の説明が崩れつつあり、民間委託の不安定さもあきらかとなりました。教育の一環である学校給食は、市の直営で行うべきです。

可燃物収集業務は、市の固有の業務であり市が責任をもって直接行うべきものです。現在の他項目の分別収集によるリサイクルとごみ減量化の推進は、市職員と市民が協同してすすめてきたものです。高齢世帯などに喜ばれている、ふれあい収集は民間委託では実施できません。さらに業務委託を受けた会社は、経費削減のために人件費を抑制し、低賃金・不安定雇用を生み出しています。市の業務でワーキングプアを発生させるなどはあってはならないことです。 

反対理由の第4は、市民の声を聞かない、国・府にものがいえない市政だからです。

住民の存続を望む声を聞かず、廃止理由を二転三転させながら開浄水場の廃止を強行しようとしています。老朽化したポンプを交換し、存続をはかるべきです。

校区を中心に1万人以上の市民が、「小学校の敷地に中学校を併設したのでは狭すぎる」「一貫校ではなく小学校単独の建て替えを」との声を寄せ、関係者からも同様の意見が多く出されたのに、小学校の校地を広げることなく中学校も増設する「施設一体型小中一貫校」建設を強行しました。

障害者団体や地域の人々が、生活の足であるバス路線の存続を求めているのに、関係者との協議の場(事業者・行政・利用者による地域協議会)をもつことも拒否して、13路線の廃止が進められようとしています。市は、周辺の全ての市町が行っているように、バス運行への助成などを実施して路線バス廃止を食い止めるべきです。

市長は、世論の過半数が消費税増税に反対しているのに「一定の負担増をお願いしなければならない時期にきている」と消費税増税を主張。国民の8割が即時原発ゼロを求めているのに「軽々に発言することはできない」、TPP参加交渉について、農業団体、医師会、商工団体などが農業破壊になる、国民皆保険制度の崩壊になるとこぞって反対しているのに「どうあるべきかということを考えていく必要がある」として態度を明確にできません。ムダな上に危険性を増すと指摘されている天ヶ瀬ダム再開発を見直すべきだとの声に対しては「必要な事業だ」とするなど、市民生活と安全に関わる重要問題で、市民の声に背を向けて、政府にたいして必要な意見をはっきりということができません。

市民のくらしと生命を脅かす悪政に対して、市民の代表として、いうべきことを言えないようでは住民自治の本旨にもとるといわざるをえません。

 介護保険事業では、北宇治地域でのグループホーム建設、東宇治地域での認知症デイサービス施設建設、ミニ特養施設建設が、計画していたのに計画期間内に実現していません。保険料軽減など現行の介護保険制度のもつ欠陥をおぎなう独自施策を検討するとともに、必要なサービス供給を責任を持ってすすめなければなりません。 

以上で討論といたします。

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