市長提案の太閤堤跡整備計画予算を削除

整備予定地を現地調査する議員団

10月15日、9月定例会最終日、市長が提案していた補正予算のうち「太閤堤跡史跡公園整備事業」(債務負担行為、20年間で25億6千万円)を削除する修正案が可決されました。

宇治川太閤堤跡歴史公園整備事業は、宇治川近くでマンション建設の際に発見された「太閤堤跡」を貴重な史跡として保存しようという声が研究者や市民からあがったことが発端でした。ところが、市長は、太閤堤跡地以外にも地域を大きく広げて「太閤堤跡公園」とする、史跡保存地域とは別に交流ゾーンという施設整備をする、さらにそこに多機能複合施設という大きな施設を建てると言い出し、それら全体をPFI方式で整備する総額80億円の事業へと膨らんでいきました。

今回提案されたのは、太閤堤跡歴史公園整備事業として、施設整備2015年~2018年、管理運営2019年~2034年の20年間で25億6千万円を予算化しようというもの。同事業の全体総額は、約80億円と説明しました。20年間という長期契約で全体で80億円という大規模事業を、年度途中の補正予算として提案するのは不適切だとの声も上がっていました。

 議会審議では、水谷修議員、山崎恭一議員、宮本繁夫議員が質疑を行いました。質疑では、予算の内訳はと問うと「公表を差し控える」と答弁、予定価格はどうなるかと問うと「公表を差し控える」、年間収益1.2億の根拠と内訳はと問うと「公表を差し控える」、直営方式よりPFI方式のほうが安くできるという根拠はと問うと「公表を差し控える」、ミュージアム施設に年間11万8千人という予想の根拠はと問うと「公表を差し控える」、事業を検討した報告書の提出を求めると需要予測や採算性シュミレーションの部分は削除して提出しました。議案審議をおこなう市議会に対して、あれもこれも説明をしない、資料も出せないでは、まともな審議ができない状況でした。

 宇治茶体験施設というが、ホットプレートで「簡易煎茶づくり」をさせて「宇治茶づくり体験」ではかえって宇治茶のイメージを傷つけるのではないか、宇治公民館の機能を移転するというが有料の貸室だけでは「公民館機能」とは程遠いではないかなど、次々と問題点が浮上しました。

 質疑の後、太閤堤事業を削除する修正が共産・自民・公明の共同で提出され、自民党議員が「市民の理解が深まっているとはいえない」と提案理由を説明、共産党の渡辺俊三議員が賛成討論にたち「全国でPFIは行き詰り、契約解除などで自治体が膨大な財政支出をしている」「PFI事業では、事業の公益性を担保し市民に良質なサービスをできない」、自民党議員は「市民への説明責任が果たせていない」、無会派議員は「雨や寒い日に弁当が広げられる程度でいい」とそれぞれ賛成討論を行いました。採決では、無会派議員1を含む19人が賛成し、民主党と無会派議員2人が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

 市長が公約としてきた大型公共事業が議会で削除されるという異例の結果となりましたが、市長の施策をチェックするという議会の機能を発揮したものであり、市長にとってはその責任を問われる事態です。

 

 

 

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