子どもを虐待や貧困から守ろう ー 「宇治市子どもの権利条例」を提案

 議員団は、、「宇治市子どもの権利条例案」を議員提案しました。条例案は、文教福祉常任委員会に付託され、6月19日の同委員会で審議されました。

 国連子どもの権利条約は1989年に国連総会で採択されました。日本は、1994年に条約を批准しましたが、国連子どもの権利委員会は、「子どもにかける予算はヨーロッパの三分の一しかない」「日本の高い貧困率も驚き」「自己責任論で周辺に追いやられ『敗者』になってしまう子どもがでてくる」など日本の実施状況審査の中で厳しい指摘をしています。

 委員会審議では、提案者の坂本優子議員が提案理由の説明を行いました。「党議員団は、国連『こどもの権利条約』、そしてすでに子どもの権利条例を制定している先進自治体の優れた取り組みを参考に、また市民から寄せられたご意見も取り入れて、2004年、2010年の2回にわたって「子どもの権利条例」を提案してまいりました。前回の提案から4年たった今、子どもへの虐待や貧困など、子どもたちをとりまく環境はますます深刻な事態となっておりますことから、虐待や貧困から子どもを守る市の責務と守られる子どもの権利をより重視し、再度提案するものです。」

 審議の中で、自民党委員は、「親の責任が不明確ではないか」と親の責任を強く主張。共産党委員は、「学校現場の貧困の実態はそうなっているか」「市は虐待の現状を把握しているか」「子ども権利条例を実施した自治体の効果は」などを質問。提案者の坂本議員の答弁で、「親だけでは子どもを守りきれない例がある」「早くに条例を制定した奈井江町で、合併論議に際して「子どもの参加する権利」を保障しようと、小学5年生以上と中・高校生に学校で説明会を開催し、投票もしてもらった例」などを紹介して実効性を説明しました。

 討論では、自民等委員が「家庭や親の責務が不明確」「有効性に疑問がある」などとして反対。

 共産党の宮本委員は、「子どもをとりまく環境は、この4年間、よくなるどころかさらに深刻になっています。」「厚生省によれば、児童相談所の児童虐待の相談件数は平成24年度で、平成11年度の5.7倍の66,701件になり、新聞・テレビでの子どもの虐待による死亡事件などがたびたび報道されています。宇治市でも、この5年間で、3.5倍に増えています。」「子どもの貧困についても、OECDによると、200年代半ばにおいて、わが国の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国30ヶ国中12番目に高く、平均を上回っている。宇治市でも、この10年で就学援助を受けている子どもが15%から19%に増えるなど、経済状態は同じように厳しいものになっています。」「条例の中で、子どもの権利の第一番に「安心して生きる権利」をあげ、その中でも「虐待から保護されること」「貧困から守られること」を明示しています」「宇治市では児童育成計画などがあり、条例制定は屋上屋を重ねるものだという意見もあったが、子どもを守る個別政策だけでは不十分だということを、この10年の子どもの環境悪化が証明しています。」「子どもの権利を全面的に保障するまちをめざして『宇治市子ども権利条例』を制定することに賛成します」と述べました。

 採決の結果は、共産党委員が賛成しましたが、民主党委員、公明党委員、自民党委員、無所属委員が反対して否決されました。傍聴に来ていた市民からは、「とてもいい条例案なのに、趣旨は賛成といいながら、なんで反対するんや」「反対の理由になってない。とってつけたような理屈や」との感想が出ていました。

 

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