北陸新幹線延伸(南廻りルート)を考えるシンポジウム

 住民不在の大型開発について考える「北陸新幹線延伸シンポ」が、3月26日(日)に開催されました。会場の京田辺市中部住民センターは、120人の参加者で満員になりました。シンポジウムは、北陸新幹線について与党プロジェクトチームが3月15日に、京田辺市の松井山手駅付近に新駅を設置する「南回りルート」を発表したことを受けて、日本共産党洛南地区委員会・山城地区委員会が開いたものです。

 かみじょう亮一京都6区国政委員長が、延伸計画の概要を説明。敦賀・新大阪間143キロ、建設費は1兆1000億円で、工期は15年の予定。費用負担は、山城地域12市町村が同意しているとされ、府負担が2000億円、駅建設費は150億円とも報道されており、京田辺市は「一定の負担はでてくる」としています。現在、京都-大阪間の鉄道は、全部で5路線もあり、最短23分です。何千億円も使って新たなルートを作らなければならない切迫した事情はありません。

 穀田恵二衆議院議員が、この計画には新聞各紙が「そもそも新たな新幹線が必要なのか」などの疑問を投げかけていることを指摘。住民の要求ではなく、古い政治スタイルの大型公共事業が安倍政権のもとで復活し、加速していることに問題のおおもとがあると語りました。

 本村伸子衆議員秘書の永野保司氏は、分割民営化から30年でJR7社の格差が拡大し、鉄路の廃止・無人駅化などが進み重大事故が起きている。安倍政権下で鉄道の地域格差が拡大している。国は公的な対策をとる必要があると語りました。(2016年のJR各社の鉄道事業営業収益は、東海5556億円、東日本3722億円、西日本1242億円、貨物マイナス34億円、四国マイナス109億円、九州マイナス115億円、北海道マイナス483億円)

 西脇郁子京都府議は、京都府は200億円ものマイナス予算を組んで、高校の統廃合、府職員1000人削減などをすすめながら、莫大な予算を新幹線につかうなど、財政規律上も0常軌を逸していると述べました。

 公共交通をよくする富山の会の渡邊眞一さんは、新幹線建設でJRから切り離された北陸本線の実態、政権与党も巻き込んだ住民運動の広がりを紹介されました。富山県を通る距離は、約100キロでこの区間の工事総額は7168億円。地元負担は2356億円で、2011年・2012年のの負担額は310億円・337億円。県税収入の3割を超えました。これ以外にも、駅周辺整備、取り付け道路建設、公園などが別途自治体負担で作られました。こうしたことが延々と続き、どれくらいお金を使ったかわからないぐらいになっています。

 質疑応答では、「断層の上を通るなど、自然と共生するというスタンスが国にはない」、「松井山手から新幹線に乗る人がいるのか」、「京田辺市の負担はどのくらいになるのか」、「在来線のバリアフリー化や安全対策などを優先すべき」などの声がだされました。

 

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