個人情報を危険にさらすマイナンバー制度の実施に反対

 共通番号制度、いわゆるマイナンバー制度が国会で決定されましたが、年金情報流出事件で、改正案の国会審議が止まるなど改めてこの制度の問題点が議論になっています。6月議会には、マイナンバー制度関連の4議案、「個人条例保護条例改正案」、「手数料条例改正案」、「市税条例改正案」、「補正予算(1号)」が提案されました。市議団は、マイナンバー制度関連だけの内容の「個人条例保護条例改正案」と「手数料条例改正案」には反対、他の事柄の改正なども含んでいる「市税条例改正案」と「補正予算(1号)」には、マイナンバー制度関係の項目を削除する修正案を提案しました。

 共通番号法は、国会では自民・公明・民主などが賛成して可決されたものであり、宇治市議会でも、自民・公明・民主などは、マイナンバー制度に関わる市の提案に賛成し、共産党の提案に反対しました。 

 山崎恭一議員の行った補正予算修正案の提案説明

 補正予算修正案は、「市税条例の一部を改正する条例」の内、マイナンバー制度の導入のための、用語の整理、申請用紙などへの個人番号や法人番号の記載を規定する部分を削除するものです。 

 マイナンバー制度は、税情報、社会保険情報、災害情報など、これまで別々に管理されていた情報をひとつの番号で管理し、利用しあうとするものです。さらに、実施前に改正案が国会に提案されており、預貯金情報、健康診断情報、医療情報などにまで利用範囲を拡大しようとしています。情報は蓄積が大量になるほど利用価値が高まり、攻撃されやすくなります。アメリカの社会番号制度は同様の制度の先行事例でも、情報漏えいと「なりすまし」などによる被害が大きく、制度の再検討の声が上がっています。完全な個人情報保護は不可能です。 

 一方で、源泉徴収などでマイナンバーを使用する企業では、情報保護に大きな費用負担や事務負担があることに戸惑いと反発が広がっています。「マイナンバー不況」を予想する声さえあります。 

 マイナンバー制度は、国民にとっては、個人情報流出の大きな危険があり、企業には負担をおしつけるものです。 マイナンバー制度にはこうした問題点があり、そもそもつくるべきものではありません。 

 日本年金機構の個人情報流出が発生し、国会では原因究明と国民の不安解消を優先させるとしてマイナンバー法と個人情報保護法の改正案審議が止まっています。また年金情報との情報連携の先送りを政府が示唆するなど、マイナンバー制度をとりまく状況は混迷しており、その取り扱いは慎重にされるべきです。このたびの「市税条例の一部を改正」にあたっても、マイナンバー制度に係わる部分を削除するべきだと考え、修正を提案するものです。

1 / 11