アスベスト被害救済を求める請願―自民・公明・民主など理由も言わずに反対

京都建築労働組合宇治支部・杉原信男委員長から、「建築従事者のアスベスト被害者の早期救済・解決を図るよう国に働きかける意見書の提出を求める請願」が提出されました。請願者は、事前に市議会の各会派や無会派議員にも趣旨を説明して協力を要請しました。国会では、共産党をはじめ自民党や民主党、公明党議員にも賛同して、国会議員の過半数を超える人が賛同しています。

ところが宇治市議会では、自民、公明、民主が、この請願に反対し否決されました。反対理由は、市民環境常任委員会でも本会議でもひとことも示されませんでした。

共産党は、山崎恭一議員が、賛成討論を行いました。以下に討論内容を紹介します。

「建築従事者のアスベスト被害者の早期救済・解決を図るよう国に働きかける意見書の提出を求める請願」に賛成する討論を行います。

アスベスト曝露汚染による健康被害は、中皮腫、肺がん、石綿肺,びまん性胸膜肥厚などを引き起こし、これまでに、18,000人近い方々が死亡しました。アスベストを吸い込んで発症に至るまでは20年から50年という長期の時間がかかります。発症のピークは40年後ともいいます。被害者は現在も増加し続けています。2040年までに10万人が死亡するという予測もあります。

1971年にWHOとILOがアスベストを発がん物質だと認定しましたが、日本へのアスベストの輸入量はこのあとも高水準を続け、日本全国で広く使い続けられました。全面禁止がおこなわれたのは、35年後の2006年のことでした。発がん性があるとわかってから35年間も使い続けた国と建材メーカーの責任は重大です。

国内で過去に使用されたアスベストは合計で1000万㌧にのぼり、これらの建物が、今、改修や解体の時期を迎えています。解体工事、災害救助、火災出動などによる、これから起こる被害を防ぐための、工事監督、管理、検査などについて対策の強化が必要です。

2006年に「石綿による健康被害の救済に関する法律」が制定されましたが、疾病認定の条件が狭く、また認定されても治療費は自己負担で療養手当が月10万円ほど。一家の大黒柱を失った遺族に弔慰金が出るものの一時金であり、安定した生活保障はありません。

アスベストを被曝した方々へは、長期にわたる健康管理が必要であり、発症前診断や新薬の開発など治療と研究にも助成と支援が必要です。

 

委員会審議では、“年間750人が認定され、その補償額は100億円ほどと推定される、国としてもがんばっている“とする委員の発言がありましたが、10万人が死亡するかもしれないというのに、認定され保障が出ているのはごく一部の方々です。下請け、孫請け、一人親方と重層構造になっている建築業界では曝露しても認定されない例が多数あります。アスベストが原因かどうか判定できる医師もごくわずかしかいません。アスベストによる肺がんをタバコが原因ですよといわれた被害者の切々とした訴えをどのように聞かれたのでしょうか。

委員会で。の採決に際して、わたしは賛成討論をいたしましたが、反対の委員は討論もしませんでした。理由も示さずに反対することは、政治家として、議員としての説明責任をないがしろのするものであると指摘させていただきます。

人類最大の公害ともいわれる、アスベスト被害について、本請願は、その規模と被害の深刻さにみあった救済とあらたな被害を防ぐ対策を求めています。国会議員の中にも、同趣旨の賛同署名への賛同者が、自民党、民主党、公明党、共産党など党派を超えて広がっており、今年7月3日現在で衆参両院議員の過半数を超える370人となっています。

この問題は、政治の問題であると同時に、人としてゆるがせにできない人道上の問題であり、わが党はこころから賛成するものです。

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